伝統の技と匠

千年以上もの寿命を誇る木造建築には、数々の匠の技が隠されています。
その技があったからこそ、何度となく襲ってくる地震や台風、また変化に富んだ日本の気温、湿度に打ち勝ち、長い時間を生き抜いてこられたのでしょう。
先人たちが磨きをかけて守ってきた伝統工法は、時を越えて、現代の職人たちに受け継がれています。

審 眼 ~ 材木選定


天然素材である木を見る目。
これを審眼と言います。
育った気候・風土が違えば、
その木の持つ個性も違ってきます。
それらを見抜き、木の本質を見極める
心の目が職人には要求されるのです。
審眼とは、つまり心眼でもあります。

継手・仕口


継手とは木材と木材を
同一方向につなぎ合わせる方法。
また仕口は木材を一定の角度を
持たせてつなぐ方法です。
いずれもクギや金物に頼らず、
木と木をしっかりと接合させる技。
先人の知恵の結晶である伝統工法を
受け継ぐことを誇りに感じながら、
職人たちは絶妙の技を
いかんなく発揮していきます。

貫工法


柱と柱の間に通し貫と
呼ばれる木材を水平に貫通させ、
くさびによって固定させる伝統工法。
耐震性に優れており、
たとえ建物が傾くほどの地震に
見舞われたとしても倒壊は免れると
いわれています。柔よく剛を制す。
まさに柔構造の真骨頂といえます。

込み栓


込み栓とは、柱のホゾと土台、
梁、桁などをつなぐ技術です。
木材の特徴を最大限に
生かした伝統建築ならではの技法。

彫 刻


鑿さばきも鮮やかに、
一彫りごとに命が吹き込まれていきます。
彫りの細かさ、深さ、美しさ。
完成された彫刻物は、
伝統建築に躍動感を与え、
見る者の心にいきいきと語りかけます。
芸術と技術が融合する彫刻には、
職人たちの魂がこめられています。